ピノ・ノワール

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考えろ!という指導

考えるってなんだっけ

他の学年の指導や他のチームの指導を見ることがたまにあるのですが、よく聞く言葉が「考えてやれ!」という指導です。考えることは大事で主体的にやることの重要性は誰もが認めるところでしょう。ただ、考えるってとても難しい事という認識が甘いと指導放棄になると思っています。以下、詳しく考察していきます。

 

考えるのか考えさせられるのか

そもそも主体的にするということをさせられていることがあります。言葉遊びにも聞こえますが、自ら行動するというのは指導者が何も言わずに選手が必要だと感じ行動することです。

ここで重要な事は、選手は必ずしも確信をもって行動していない場合があるということです。わかりやすいことや清掃などの義務的作業を率先してやることも主体的に動くことかもしれませんが、選手は指導者が気にもしていないことを考えて行動している場合があります。このときに、指導者がわからなかったり気付かないことに対して、価値観を押し付けて、「それは違う!」や「どうしてそんなことをしたんだ!」と頭ごなしに否定してしまう指導者をよく見かけます。これは、試合中のプレーに対してもよくあることで、指導者の好みだけで、「ナイスプレー!」と言い、指導者の好まないプレーのときは否定してしまい、指導者から見えない選手の挑戦が挫かれてしまいます。これでは、選手は指導者の傀儡でしかありません。

人形師にならないために

では、具体的に指導者が見えない選手の挑戦をどう発見し褒めていくかですが、私は以下のように気をつけて指導しています。

  • 否定をなるべくしない
  • 普段からの行動をよく観察し、その時の行動の理由を指導者が「考える」
  • 選手に聞いてみる

2番目が特に重要だと考えていて、何より指導者が「考え」ながら指導をしているかが重要であると思います。よくある、考えてプレーをしろという指導はたいていが、指導者が思考を放棄するときに使われます。そういう指導者は自分でわからないことや自分の意見がないときは、選手に投げてしまいます。そもそも、指導者も考えることができないようなことを選手に求めるのも酷ですし、選手が導いた答えを否定するだけの力量がないから、否定につながってしまいがちです。

考えるテーマ作り

私は教員免許をとったときに、教育実習でアクティブラーニングという指導法を教わりました。アクティブラーニングの和訳は、能動的学習という意味で、黒板に書かれたことをノートに写し、知識を吸収する形ではなく、学んだことや新たなテーマをグループワークなどを通して、問題解決的に学習していくスタイルのことをいいます。アクティブラーニングの良さは、主体性が伸びることや学習の密度の高さだと思います。元来の受動的な学習も、もちろん大量の知識などを学ぶ場合は有効というより、ある程度は必要になります。

サッカーにアクティブラーニングや受動的な学習を当てはめると、受動的な学習は、ドリルトレーニングと呼ばれるコーンドリブルや基礎的なリフティングなどが当たります。では、アクティブラーニングではどうなるかというと、ミニゲームやパスゲームなどに、テーマを持って、選手間や指導者と意見を出し合いながらトレーニングすることが当たると思います。教育実習でも痛感しましたが、アクティブラーニングはとても指導者の負担が大きいです。アクティブラーニングで指導者がしなければならないことは

  • 適切なテーマの設定
  • テーマに取り組む際の評価のポイントの設定
  • 学習者とのコミュニケーション
  • テーマに対する指導者の意見の発信

などがあると思います。

まず適切なテーマであることが重要で、適切なテーマでなければ、学習者のモチベーションが下がり、学習どころではなくなります。

次に評価のポイントを設定しなければなりません。無法地帯だと、テーマからかけ離れた議論に発散してしまい、時間ばかりが経過することがよくあります。

また、学習者とのコミュニケーションも重要になります。答えを教えすぎると主体的な学習にならないため、あくまで聞き手として立ち回る必要がありますが、時間とも戦わなければなりません。

最後に重要なのは指導者の意見を持つことです。指導者がデタラメな意見しか持っていなければ、そもそも議論するほどのテーマでもない場合が多く、また指導者としての資質を疑われかねません。

冒頭で述べた指導者の指導放棄によく見かけられるのは以上の4点だと感じます。

よりよい考える指導を目指して

以上に述べたように考える指導というのは、とても難しく指導者にとっても挑戦が多いです。ありがちな否定することが指導と勘違いしている方や、自分が考えるのを放棄するために不適切な考える指導をする方がよく見受けられます。私は、指導者に求められるのは観察力と環境作りだと思います。選手とコミュニケーションをとり、選手の見えない挑戦をできる限り見つけ、それを伸ばすために練習メニューを考え、その年代や選手にできる限界を意識してアドバイスをすることが大切だと思います。