ピノ・ノワール

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2017年度卒団

今年もこの季節がやってきた

2017年度の卒団式がありました。毎年、様々な個性を持った選手が卒団して行きます。特に今年の卒団生は私の担当学年ではないですがチームとして特色があったように思いました。この学年の戦術を分析してみました。

2-4-1

フォーメーションについては、以前取り上げたことがありましたが、オーソドックスな2-4-1でした。ただ、この学年の強みはGKで、正確なフィード、テンポの良いパスワークと思い切りの良い飛び出しが売りのGKがなんと2人もいました。基本的にはこの2人をうまく使えていたように思います。GKが近い距離だけでなく遠い距離の選手に正確なフィードが出せるため、GKに預けて1人おびき出して、常に数的有利な状況を生み出しながらゲームを進めるというものでした。実際この戦術はマンチェスターシティが取り入れていて、エデルソンなど足元がうまいGKが必須なのですが、まさにこれでした。

数的優位が生み出すもの

数的優位だと何が良いかというと、相手は1人少ないためマンマークではなくスペースを埋めるゾーンで対応しなければなりません。ただ、ゾーンで守備をする場合は、各選手のカバーできる範囲が重要になります。例えば、範囲が狭い場合はコンパクトに陣形を保ち、アタッキングサードまで来たらボールを奪う方法や、穴ができても良いのでスペースを均等に埋めることでスペースを活用されないようにするなどがあると思います。ただ、先述のように1人多い状況なので、このどちらの方法でも相手はカバーするエリアを大きくする必要があります。

サイドハーフの活用

また、うちのチームの伝統かわかりませんが、コーナーフラッグめがけて蹴ることが好きなのでサイドハーフの選手がかなりサイドライン際に広がっているため、副作用的にセンターハーフの2人にスペースがあります。このため、先程述べたようにGKはここにもロングフィードが出せるようになり、低い位置ではなくセンターラインを超えたところから攻撃が始まるため相手の陣形が整う前に攻めることができます。そして、センターハーフの2人のパス交換や縦のFWやDFとのパス交換、そしてサイドハーフへの裏パスなどで相手の陣形を崩して行き、フィニッシュまで持っていきます。

ダイゴナルランの活用

このチームでは活用されていませんでしたが、相手のDFラインが高ければFWが裏を取りやすく、低ければDFとMFの間のスペースが空きやすく、センターハーフサイドハーフがダイゴナルランを敢行することで有利な状態で攻撃ができるようになります。流石に小学生年代でここまでするのは酷かもしれないですが、先述的幅の余地としてはこういうところがあったのかなと思いました。

最後に

しかしながら、ここまで先述的でGKの技術は必要ですが、戦術的に崩すのは痛快で私はコーチ3年目ですが今までで一番興味深いサッカーをしたチームでした。特にGKの選手は、まさしく現代のGKという感じでどこまでいけるか楽しみですね。卒団おめでとう。

考えろ!という指導

考えるってなんだっけ

他の学年の指導や他のチームの指導を見ることがたまにあるのですが、よく聞く言葉が「考えてやれ!」という指導です。考えることは大事で主体的にやることの重要性は誰もが認めるところでしょう。ただ、考えるってとても難しい事という認識が甘いと指導放棄になると思っています。以下、詳しく考察していきます。

 

考えるのか考えさせられるのか

そもそも主体的にするということをさせられていることがあります。言葉遊びにも聞こえますが、自ら行動するというのは指導者が何も言わずに選手が必要だと感じ行動することです。

ここで重要な事は、選手は必ずしも確信をもって行動していない場合があるということです。わかりやすいことや清掃などの義務的作業を率先してやることも主体的に動くことかもしれませんが、選手は指導者が気にもしていないことを考えて行動している場合があります。このときに、指導者がわからなかったり気付かないことに対して、価値観を押し付けて、「それは違う!」や「どうしてそんなことをしたんだ!」と頭ごなしに否定してしまう指導者をよく見かけます。これは、試合中のプレーに対してもよくあることで、指導者の好みだけで、「ナイスプレー!」と言い、指導者の好まないプレーのときは否定してしまい、指導者から見えない選手の挑戦が挫かれてしまいます。これでは、選手は指導者の傀儡でしかありません。

人形師にならないために

では、具体的に指導者が見えない選手の挑戦をどう発見し褒めていくかですが、私は以下のように気をつけて指導しています。

  • 否定をなるべくしない
  • 普段からの行動をよく観察し、その時の行動の理由を指導者が「考える」
  • 選手に聞いてみる

2番目が特に重要だと考えていて、何より指導者が「考え」ながら指導をしているかが重要であると思います。よくある、考えてプレーをしろという指導はたいていが、指導者が思考を放棄するときに使われます。そういう指導者は自分でわからないことや自分の意見がないときは、選手に投げてしまいます。そもそも、指導者も考えることができないようなことを選手に求めるのも酷ですし、選手が導いた答えを否定するだけの力量がないから、否定につながってしまいがちです。

考えるテーマ作り

私は教員免許をとったときに、教育実習でアクティブラーニングという指導法を教わりました。アクティブラーニングの和訳は、能動的学習という意味で、黒板に書かれたことをノートに写し、知識を吸収する形ではなく、学んだことや新たなテーマをグループワークなどを通して、問題解決的に学習していくスタイルのことをいいます。アクティブラーニングの良さは、主体性が伸びることや学習の密度の高さだと思います。元来の受動的な学習も、もちろん大量の知識などを学ぶ場合は有効というより、ある程度は必要になります。

サッカーにアクティブラーニングや受動的な学習を当てはめると、受動的な学習は、ドリルトレーニングと呼ばれるコーンドリブルや基礎的なリフティングなどが当たります。では、アクティブラーニングではどうなるかというと、ミニゲームやパスゲームなどに、テーマを持って、選手間や指導者と意見を出し合いながらトレーニングすることが当たると思います。教育実習でも痛感しましたが、アクティブラーニングはとても指導者の負担が大きいです。アクティブラーニングで指導者がしなければならないことは

  • 適切なテーマの設定
  • テーマに取り組む際の評価のポイントの設定
  • 学習者とのコミュニケーション
  • テーマに対する指導者の意見の発信

などがあると思います。

まず適切なテーマであることが重要で、適切なテーマでなければ、学習者のモチベーションが下がり、学習どころではなくなります。

次に評価のポイントを設定しなければなりません。無法地帯だと、テーマからかけ離れた議論に発散してしまい、時間ばかりが経過することがよくあります。

また、学習者とのコミュニケーションも重要になります。答えを教えすぎると主体的な学習にならないため、あくまで聞き手として立ち回る必要がありますが、時間とも戦わなければなりません。

最後に重要なのは指導者の意見を持つことです。指導者がデタラメな意見しか持っていなければ、そもそも議論するほどのテーマでもない場合が多く、また指導者としての資質を疑われかねません。

冒頭で述べた指導者の指導放棄によく見かけられるのは以上の4点だと感じます。

よりよい考える指導を目指して

以上に述べたように考える指導というのは、とても難しく指導者にとっても挑戦が多いです。ありがちな否定することが指導と勘違いしている方や、自分が考えるのを放棄するために不適切な考える指導をする方がよく見受けられます。私は、指導者に求められるのは観察力と環境作りだと思います。選手とコミュニケーションをとり、選手の見えない挑戦をできる限り見つけ、それを伸ばすために練習メニューを考え、その年代や選手にできる限界を意識してアドバイスをすることが大切だと思います。

8人制サッカーとそのフォーメーションについての考察

小学生年代は8人制

 少年サッカーが中学生年代から上のカテゴリーと大きく異なることとして、8人制であることがあげられます。現在は、8人制で交代自由というルールで試合が行われていて、これは大目的としてボールを触る時間と人数を増やすためです。11人制だとプレーに関与できない選手が多く、また3人のみの交代だと出場できない選手が大量に出てしまいます。小学生の年代では競技制よりも育成に特化しているためこのようなルールになっています。

2-4-1か、3-3-1か?はたまた・・・。

 8人制ではキーパーを除く7人フィールドプレーヤがフォーメーション(陣形)を取ります。現代サッカーでは、フォーメーションだけではなく、個々の戦術理解によって形が変わります。とはいえ、まずはこの年代ではフォーメーションに対する基本理解が重要となってきます。取り入れているチームが多い2-4-1や3-3-1について話していきます。

2-4-1
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 まずは、2-4-1です。多くのチームがこのフォーメーションを取り入れているように思います。このフォーメーションのよいところは、中盤の優位性だと考えています。後述の3-3-1と違い、横の幅が取れるにも関わらず中盤が2枚いるので数的優位を作りやすいため、攻撃時はFWを追い越したり中盤でのパス交換によって崩しやすいです。しかし、デメリットとしてカウンターを食らったときには、後ろの枚数が2枚しかいないため、CMFの2人の戻りが遅いと数的不利が起きやすく、また両サイドのMFの戻りが遅いとDFの両脇にぽっかりとスペースができてしまい、DFが引き出されてしまうと簡単に崩されてしまいます。

 

3-3-1
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 つぎに、強豪チームがよくやる3-3-1について。このフォーメーションの良いところは、バランスの良さです。攻撃時も守備時も均等に配置されているため、カウンターでもポゼッションの場合でも攻撃はバランスよくできます。また、守備の時も3人残っているため、数的不利を作りません。デメリットとしては、均等に配置されているからこそ、リトリート*1が遅れるとたちまち数的不利を生み出し、また攻撃時も基本的にはCMFが1人なのでCMFの能力次第で攻撃の質が決まってしまい、パス交換などで崩すのも2-4-1ほど容易ではなくなります。

3-4-0
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 次は、3-4-0です。このフォーメーションのよいところは、基本的に三角形が作りやすいのでポゼッションに向いているという点です。基本的には3バックのほうが、ポゼッションには向いています。なぜなら、2バックだと片方のDFがボールを保持していると選択肢がもう片方のDFかGKにしか安全な選択肢がなく、DFサイドの選択肢を切られながら、プレスに来られるとGKしか選択肢がなくなり、足の速い選手やパスが苦手なDFだとリスクが高くなり、GKは余裕がなくなるためロングボールを蹴らされがちです。11人制では、ボランチの選手が1枚下がり、3バックにして、両サイドバックがウイングの形になる戦術がありますが、3-4-0はあらかじめ3バックにして、両サイドの選手に選択肢を残したまま後ろからビルドアップできるように配置しています。この配置だと、常に数的有利な状況が生み出せ、また2-4-1のように中盤の厚みも確保でき、3-3-1のようにカウンターにも対処することができました。

 

 デメリットとしては、FWがいないため、奥行きが作りにくいという点があります。このため、相手はコンパクトにフォーメーションが取りやすく、プレッシャーが速くなります。これを解決するためには、CMFの2人がパス交換で裏へ抜け出す崩しを行ったり、両サイドのMFの選手が攻撃時は高いポジショニングを取ることで、相手は横にも縦にも配置しなければならなくなり、中盤での優位性が保たれます。

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↑密集してプレッシャーが速い。

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↑スペースが確保されている(緑)ため、プレッシャーがかけにくい。

結局、どれがいいの?

 2-4-1や3-3-1は、よく見かけられるフォーメーションです。どちらもポジショニングがはっきりしていて、わかりやすいとおもいます。最後に紹介した3-4-0は、使っているチームは今のところ見たことがありません。なぜなら、私が1人でかんがえているモノだからです笑。自分もそうなりがちですが、ポゼッション=ボール回しができていると考えがちですが、ポゼッションをする目的として

  • 相手よりボールを保持して、そもそもの相手の攻撃の回数を減らす
  • 相手の陣地に相手を押し込んで、ショートカウンターのリスクを減らす
  • 数的有利な場面を作り、パス交換によって崩してゴールを目指す

などがあると思います。3-4-0の場合は、FWの選手がいないためゴールから遠ざかっているじゃん!と突っ込まれるかもしれないですが、小学生年代でありがちなボールを持ったらとりあえずFWの選手に大きく蹴って、あとよろしく!というロングカウンター戦術がこのフォーメーションでは使えないため、自然とビルドアップ*2して攻撃することを意識するようにならざるおえません。

 

 また、先ほどのロングカウンター戦術で求められるのは、あとから上がってくるCMFや両サイドのMFのアスリート的な能力で、成長の遅い選手は活躍できない場合が多いです。これでは、成長の度合いで試合に出るか出ないかが決まってしまいます。この年代で育成しなければならないのは、ボールタッチの精度や状況判断能力であり、アスリート能力はおのずと後からついてきます。3-4-0は、ポゼッションに重きを置いた戦術であるため、関わる選手は全員であり、ボールを受ける前に適切な準備をして、頭を使い、連動した崩しをしなければ効果的な攻撃ができません。そういう意味で3-4-0のスタイルは教育的だと感じています。

 

が、自チームで試したところすぐにチーフコーチに2-4-1に戻されてしまい、やはり選手がわかりやすく、簡単なフォーメーションのほうがウケが良いみたいです。ゆくゆくは、やってみたいんですけどね。がんばります。

 

 

*1:リトリート:自陣への帰陣

*2:ビルドアップ:ボールを動かして試合を組み立てていくこと

ブログ開設

ブログ開設!

前々からやってみたかったブログを開設しました(実は雑多なブログをしようとして続かなかった経験はある笑)。今回は、サッカーおよび少年サッカーの指導についての備忘録という形で書いていきたいと思っています。よろしくお願いします。

 

自己紹介

まず、はじめなので自己紹介からです。小学1年生からサッカーをはじめ、現在はその卒団したチームで高学年を教えています。サッカー経歴は、中学は隣町のクラブチームに入り、高校は隣の県の公立高校でサッカーを続けました。大学は、サークルでフットサルをしていました。ポジションは小学生のときはFWとDFで、中高はMFをやっていました。好きなチームはプレミアリーグのTottenham Hotspursです。現在はレアルマドリードに所属していますが、青春時代のアイドルはルカ・モドリッチでした。

 

ブログの方針

まだほとんどなにも決まっていませんが、方針としては読んだ本や普段の練習で気づいたことをまとめて、文章化し、見直せるようにすることを目標にします。もちろん、読者ができればよいですが、基本的には自分の備忘録と思って書いていきます。