ピノ・ノワール

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8人制サッカーとそのフォーメーションについての考察

小学生年代は8人制

 少年サッカーが中学生年代から上のカテゴリーと大きく異なることとして、8人制であることがあげられます。現在は、8人制で交代自由というルールで試合が行われていて、これは大目的としてボールを触る時間と人数を増やすためです。11人制だとプレーに関与できない選手が多く、また3人のみの交代だと出場できない選手が大量に出てしまいます。小学生の年代では競技制よりも育成に特化しているためこのようなルールになっています。

2-4-1か、3-3-1か?はたまた・・・。

 8人制ではキーパーを除く7人フィールドプレーヤがフォーメーション(陣形)を取ります。現代サッカーでは、フォーメーションだけではなく、個々の戦術理解によって形が変わります。とはいえ、まずはこの年代ではフォーメーションに対する基本理解が重要となってきます。取り入れているチームが多い2-4-1や3-3-1について話していきます。

2-4-1
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 まずは、2-4-1です。多くのチームがこのフォーメーションを取り入れているように思います。このフォーメーションのよいところは、中盤の優位性だと考えています。後述の3-3-1と違い、横の幅が取れるにも関わらず中盤が2枚いるので数的優位を作りやすいため、攻撃時はFWを追い越したり中盤でのパス交換によって崩しやすいです。しかし、デメリットとしてカウンターを食らったときには、後ろの枚数が2枚しかいないため、CMFの2人の戻りが遅いと数的不利が起きやすく、また両サイドのMFの戻りが遅いとDFの両脇にぽっかりとスペースができてしまい、DFが引き出されてしまうと簡単に崩されてしまいます。

 

3-3-1
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 つぎに、強豪チームがよくやる3-3-1について。このフォーメーションの良いところは、バランスの良さです。攻撃時も守備時も均等に配置されているため、カウンターでもポゼッションの場合でも攻撃はバランスよくできます。また、守備の時も3人残っているため、数的不利を作りません。デメリットとしては、均等に配置されているからこそ、リトリート*1が遅れるとたちまち数的不利を生み出し、また攻撃時も基本的にはCMFが1人なのでCMFの能力次第で攻撃の質が決まってしまい、パス交換などで崩すのも2-4-1ほど容易ではなくなります。

3-4-0
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 次は、3-4-0です。このフォーメーションのよいところは、基本的に三角形が作りやすいのでポゼッションに向いているという点です。基本的には3バックのほうが、ポゼッションには向いています。なぜなら、2バックだと片方のDFがボールを保持していると選択肢がもう片方のDFかGKにしか安全な選択肢がなく、DFサイドの選択肢を切られながら、プレスに来られるとGKしか選択肢がなくなり、足の速い選手やパスが苦手なDFだとリスクが高くなり、GKは余裕がなくなるためロングボールを蹴らされがちです。11人制では、ボランチの選手が1枚下がり、3バックにして、両サイドバックがウイングの形になる戦術がありますが、3-4-0はあらかじめ3バックにして、両サイドの選手に選択肢を残したまま後ろからビルドアップできるように配置しています。この配置だと、常に数的有利な状況が生み出せ、また2-4-1のように中盤の厚みも確保でき、3-3-1のようにカウンターにも対処することができました。

 

 デメリットとしては、FWがいないため、奥行きが作りにくいという点があります。このため、相手はコンパクトにフォーメーションが取りやすく、プレッシャーが速くなります。これを解決するためには、CMFの2人がパス交換で裏へ抜け出す崩しを行ったり、両サイドのMFの選手が攻撃時は高いポジショニングを取ることで、相手は横にも縦にも配置しなければならなくなり、中盤での優位性が保たれます。

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↑密集してプレッシャーが速い。

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↑スペースが確保されている(緑)ため、プレッシャーがかけにくい。

結局、どれがいいの?

 2-4-1や3-3-1は、よく見かけられるフォーメーションです。どちらもポジショニングがはっきりしていて、わかりやすいとおもいます。最後に紹介した3-4-0は、使っているチームは今のところ見たことがありません。なぜなら、私が1人でかんがえているモノだからです笑。自分もそうなりがちですが、ポゼッション=ボール回しができていると考えがちですが、ポゼッションをする目的として

  • 相手よりボールを保持して、そもそもの相手の攻撃の回数を減らす
  • 相手の陣地に相手を押し込んで、ショートカウンターのリスクを減らす
  • 数的有利な場面を作り、パス交換によって崩してゴールを目指す

などがあると思います。3-4-0の場合は、FWの選手がいないためゴールから遠ざかっているじゃん!と突っ込まれるかもしれないですが、小学生年代でありがちなボールを持ったらとりあえずFWの選手に大きく蹴って、あとよろしく!というロングカウンター戦術がこのフォーメーションでは使えないため、自然とビルドアップ*2して攻撃することを意識するようにならざるおえません。

 

 また、先ほどのロングカウンター戦術で求められるのは、あとから上がってくるCMFや両サイドのMFのアスリート的な能力で、成長の遅い選手は活躍できない場合が多いです。これでは、成長の度合いで試合に出るか出ないかが決まってしまいます。この年代で育成しなければならないのは、ボールタッチの精度や状況判断能力であり、アスリート能力はおのずと後からついてきます。3-4-0は、ポゼッションに重きを置いた戦術であるため、関わる選手は全員であり、ボールを受ける前に適切な準備をして、頭を使い、連動した崩しをしなければ効果的な攻撃ができません。そういう意味で3-4-0のスタイルは教育的だと感じています。

 

が、自チームで試したところすぐにチーフコーチに2-4-1に戻されてしまい、やはり選手がわかりやすく、簡単なフォーメーションのほうがウケが良いみたいです。ゆくゆくは、やってみたいんですけどね。がんばります。

 

 

*1:リトリート:自陣への帰陣

*2:ビルドアップ:ボールを動かして試合を組み立てていくこと