ピノ・ノワール

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サッカーIQってなんだろう

サッカーIQってなんだろう

 よくサッカーIQという言葉を聞きます。IQという言葉は、Intelligence Quotientという知能指数を数字で表すためのものらしいです。つまり、”サッカーIQ=サッカーに関する知能の数字的な指数”ということになりますかね。でもサッカーに関する知能ってなに?という疑問があります。

サッカーに関する知能=判断力?

 サッカーに関する知能について考えてみます。サッカーを指導するときによく言われるのは、判断力を磨く練習をするべきだという意見です。私もこれは同意しますが、判断力というのはかなり曖昧で細分化されていない言葉だなと思います。

判断力の細分化

 判断するにしても、生まれたての赤ん坊が何かを判断するときにはやはり本能として親に助けを求めるために、泣くことで助けを呼ぶという判断をして、行動していると思います。しかし、小学生年代に入れば理性的な判断ができるようになってくるため、相手の表情や行動で自分の行動を変えることができるようになります(相手が泣いていれば、慰めるなど)。これから、判断力も本能的な判断力と理性的な判断力があると考えられます。

理性的な判断力

 サッカーで理性的な判断力を考えるならば、例えば相手が一対一に強ければ、パスで崩すことを選ぶことや、相手のFKやDFの位置を把握してロングシュートを狙うのかスルーパスを狙うのかなどを選ぶことなどがあると思います。これは、主に相手の行動や相手の個性を元に、予測をたて戦略的に相手を上回るために行います。

本能的な判断力

 サッカーにおける本能的な判断力とは何だろうと考えると経験からくる咄嗟の反応だと思います。例えば、相手にチャージされた場合を考えましょう。ある選手は遠いほうの足でキープしてボールを失わないようにするかもしれないですが、わざとボールをさらして相手がボールを奪おうとするところを一気に抜いてしまうというボールのキープの仕方をする選手がいると思います。これは、理性的にというよりは練習や試合などで積み重ねられてきた経験からくるものだと思います。

判断力を鍛えるためにはどうすればよい?

では、判断力を鍛えるためにはどうすればよいのでしょうか。

理性的な判断力を鍛えるためには?

 理性的な判断力が優れている選手は相手の傾向や特徴を知ろうとしたり、味方の情報を取り入れようとします。そして、試合や練習の中で周りを見て自分がどうするかや周りをどう動かしていくかを意識していると考えられます。ただこれを自分ですべて考えてできる選手は見たことがありません。

 理性的な判断をするためには、着眼点を持つことが大切だと思います。例えば、プロの試合を見ていいプレーをしたときになぜそうなるかを考えたり、コーチや監督からの指示で着眼点を持つことができると思います。これは、脳の成長とともに発達するため、個人差に依りますが小学生年代ではコーチの声かけが重要になってくると考えています。そのため、コーチが頓珍漢な声掛けをすればするほど理性的な判断力はどんどん落ちていくことが予想されます。というか、頓珍漢な声掛けをするくらいなら声をかけないほうが良い場合が多々あります。なので、試合や練習で様々な着眼点を見つけられるような声掛けが理性的な判断力を鍛えるために必要なのではないかと考えます。

本能的な判断力を鍛えるためには?

 本能的な判断力なのだから、練習の量を増やせばなんとかなる!!というのは、大間違いだと思います。本能的な判断力というのは、経験的な要素が多いため練習の量だけに着眼点をもつことは間違いで、経験のパターンを増やすことが重要だと考えます。つまり、同じ練習の反復も大切ですが、様々な場面やその場面ごとにいろいろな選択肢があることを認識することが重要だと思います。トラップ一つにしても、様々な体の部位でトラップすることができ、トラップの方向、強さも様々あります。この一つ一つは練習や試合で経験しなければうまくならないです。また、様々なバリエーションを持っていれば理性的に判断する余裕がない場面でも、それを実行することができます。

 

コーチのサッカー観と声掛け

 そもそもプレーの選択に正解はないもので、コーチのサッカー観で指導をすると育成年代の選手はコーチのサッカー観に染まってしまいがちです。これが続いてしまうといざ試合になるとコーチのサッカー観の外にあるプレーでは全く通用しなくなってしまい、"サッカーIQが低い選手だ"などと言われてしまうのではないでしょうか。

 私の場合は、自分の好みを選手に押し付けないように心掛けています。よくベストエフォートという言葉がビジネスでは使われるようですが、その選手が最も努力していれば褒めるようにしています。その選手がドリブルで突破できると感じたならばそれを尊重するべきですし、パスを選択したならパスをしたことを褒めなければなりません。ただ、自分ができることしかやらない選手には自分のできない事にも挑戦させるように指導しなければならないと思っていて、コーチの指導や声掛けはあくまできっかけにしかならず、自分の経験したことがない世界を自分で体験して学ぶこと以外に成長する手段はないと考えています。そのため、声掛けはその選手が見えない世界を提示する(教えるではない)ことで十分だと思います。