ピノ・ノワール

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8人制サッカーのポジショナルプレー

ポジショナルプレー

最近、footballistaなどを呼んでいると、ポジショナルプレーについてかなり詳しく書かれていました。web記事で結城康平さんの記事があったので、それを参考に8人制の少年ではどのようになるかを考察してみました。

www.footballista.jp

 

ポジショナルプレーというのは、人によって理解が異なりますが、私の理解ではボールや人の場所によって、各選手がポジショニングを変えることで優位性を得るプレーだと考えています。今回は、8人制でのポジショナルプレーについて考えてみます。2-4-1の場合のみを取り扱います(3-3-1と3-4-0は気が向いたら笑)。

5レーン理論とハーフスペース

まず、5レーン理論とハーフスペースについて説明します。よく、サイド攻撃や中央突破という言葉が使われますが、5レーン理論は、それを更に細分化した5つのレーン(区分け)で考える理論のことを言います。

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このとき、黄色のスペースのことをハーフスペースと呼び、現代サッカーではここをうまく活用しようというのが流行しています。ハーフスペースの優位性は、視野の広さとゴールへの近さがあります。サイドスペースだと選択肢は突破するか中へパスをするかしかありません。また、中央のレーンだとゴールから最も近いためプレッシャーが強い場合が多く突破するのが難しいです。

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サイドスペースの場合。視野も選択肢も中か前しかない。

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ハーフスペースの場合。左のレーンや中のレーンにドリブルすることやパスをすることができ、またゴールに近いのでシュートも可能。

2-4-1の場合

まず、2-4-1の基本陣形の場合は、両サイドハーフの選手がサイドのレーンにいて、両CBと両CMFの選手はハーフスペース、そしてFWの選手は中央のレーンにいます。

サイドハーフの選手がボールを保持している場合

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では、ここでサイドの選手がボールを持ったときの場合を考えます。Footbalistaのweb版では、①1列前の選手が同じレーンにいてはならない。②2列前の選手は同じレーンにいなければならない。というルールが設けられていました。8人制では、3つの列しかありません。このため、2列目の選手がボールを持った場合はこのルールは破綻してしまうため、CMFの動きで列を作るしかありません。

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CMFがすこし前に移動することで、三角形ができました。しかし、これでは三角形が1つしかできていないため、十分とは言えません。次のようなプレーを考えてみました。

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FWがサイドに流れることで、2つの三角形が作ることができました。ここで、攻撃の選択肢としてCMFに預けるパターンとFWに預けるパターンがあります。それぞれを考えていきます。

FWにボールが渡った場合

では、まずFWにボールが渡った場合を考えます。

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この場合だと、前向きな三角形を作成することができません。左CMFとの連携で崩していくか、遠くにいるもう一人の右CMFにセンタリングをするか、またはドリブル突破を試みるかになってきます。ここで、他の選手の動きだしについて考えると右CMFと右のサイドの選手が次のように動いたと仮定しましょう。

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すると、次のような三角形ができます。

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これによって、CB、左CMF、右CMFという選択肢ができ、三角形が二つできました。例えば、走りこんできた右CMFにボールが渡るとすると

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右のハーフスペースにいた右サイドハーフの選手が中央のレーンに侵入することで、また三角形ができますし、自らシュートを狙うこともできます。同様に、左CMFにボールが渡った時も同じ三角形ができるため有効な手段となります。

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CMFに預けた場合

つぎにCMFにボールを預けた場合はどうなるか考えていきます。

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ここで、右のCMFは左のハーフスペースまでFWを追い越して進むこともできますが、中央のレーンに侵入しFWの選手が左のハーフスペースに入ることで優位性を保つことができます。また、FWのいたスペースには左のサイドハーフの選手が入ることで二つの三角形ができます。

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このように、細かい動き直しによって三角形は作り直されていきます。

CBの選手がボールを保持している場合

では、次にCBの選手がボールを持っているときの場合を考えましょう。通常の陣形の場合は、三角形は1つしかできません。

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そこで、左CMFと右CBが中央のレーンに移動します。

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これによって、3つの三角形ができました。隠れてはいますが、GKもビルドアップに参加すればさらに三角形を作ることができます。ここでは、サイドの選手にボールを渡すと先に書いた展開になるので、左CMFと右CMFにボールが渡った場合を考えてみます。

左CMFにボールが渡った場合

左CMFにボールが渡った場合、三角形を作る方法として右CMFが一列前に移動し、FWが裏のハーフスペースに侵入することで2つの三角形ができます。

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また、ここでは左にかなり人数が割いてあるため右にスペースができやすいため、右サイドハーフの選手が空いたスペースを狙うこともできます。

右CMFにボールが渡った場合

次に右CMFにボールが渡った場合を考えます。この場合、右サイドハーフが右のハーフスペースに侵入し、中央のレーンに移動していた右CBが右のハーフレーンに移動することで3つの三角形を作ることができます(左CBも含めば4つ出来る)。

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ポジショナルプレーで重要な事

このように、Footbalistaで取り上げられていたポジショナルプレーに基づいて考えると細かなポジショニングで様々な三角形ができることがわかりました。小学生のピッチは横が50mのため、1レーンあたり10mの幅になり、グラウディオラが選手に求める8m程度の選手間距離でいえば、レーンを2つまたぐと10mを超えてくるので遠くなります。そもそも大人と子どもではキック力が異なるため、隣のレーン程度(~10m)でパスを交換する程度でなければ、ボールをつなぐのは難しそうです。これを実践するためには、選手がボールを持っているときに他の選手が予測と細かなポジショニングチェンジで適切な距離を保つことが重要だと考えます。

実際に指導する場合

これを一から選手に理解するには相当な時間と理解力が求められます。なので、例えば「サイドの選手がボールを持ったときは逆サイドの選手は中に詰めよう。」や「CBの選手がボールを持ったときは、足元ではなくてできるだけスペースに動き出してもらおう」などの具体的な指導にしなければならないと思いました。中学生や高校生までの段階に行けばできない事はないのかなーとは思いますが。。