ピノ・ノワール

地元で小学生サッカーのコーチしてます!Tottenham hotspurファン。Twitterもよろしくー。

指導者の言葉

指導者の言葉の重み

またまた日大のアメフト部の話ですが、その中で"潰せ"という指示が乖離して伝わったという問題がありました。詳しくはニュース等を見ていただきたいのですが、選手と指導者で言葉の意味の捉え方が異なってしまい過激なプレーにつながることはサッカーでもよくあることです。問題の本質は、指導者の言葉は選手にどう伝わるかだと思います。

選手は様々なプレッシャーと戦っている

選手は自分のプレーに責任を持つプレッシャーがあります。それは、チームメイト、指導者、保護者や何より自分からプレッシャーがあります。そして、プレッシャーを感じすぎた選手は正常な判断が出来なくなるということです。今回の話もそうですが、日頃よく使う言葉だからといって個々の選手が同じ意味ではとならないし、追い込まれている選手は過激なプレーをしてしまいがちになり、自暴自棄になることもあります。

暴力的な言葉は使わない

対人のスポーツ、サッカー、ラグビーやアメフトなどチャージが許されているスポーツでは潰せという言葉はよく使われていると思います。サッカーでも戦術的なファールでカウンターを防ぐことはあります。しかし、そのときは相手に怪我をさせないように配慮したファールを犯しています。このときに周りがかける言葉は潰せ!でしょうか?私は止めろ!で十分だと思います。怪我をさせるプレーはルールでも許されていませんし、そもそも意図して相手を傷つけるようなプレーはスポーツマンシップからかけ離れていて、潰せ!などの言葉もスポーツマンシップからかけ離れていると言えるでしょう。

言葉の魔力

人間は欲求があります。それを制するのが理性ですが、これを外すのは周りからの言葉が大きいと思います。最後の一押しをするのはいつも周りで、自分の欲求に確信を持つのは他人の言葉です。なので自分の考えを認めてくれる言葉には耳を貸しますし、自分と異なる意見は出来る限り聞きたくないものです。同調圧力ですが、今回のようなことが起きないようにするには普段から言葉の重みを知った上で指導者は指導しなければなりませんし、暴力的な言葉は使わないことが求められます。

ダーティプレーについて

ダーティプレーについて

最近、日大のアメフトでのダーティプレーが話題になっていますね。もちろんスポーツの多くでダーティプレーが見受けられ、アメフトだけが責められる訳ではないとは思いますが、もともとルールが守らなければ、守られても危険なスポーツであるためダーティプレーはあってはならないと思います。

サッカーでは?

サッカーでも、もちろんダーティプレーは許されるものではありません。アメフトのように防具をしていませんし、ラグビーのように手を使ったタックルに備えて鍛えているわけでもありません。また手でボールを保持していないため、ボールに集中してしまうため不意なタックルに対応するのが他種目に比べて遥かに難易度が高いと言えると思います。

指導者として

では指導者として相手を怪我させるプレーについてどう指導していくか。という疑問があります。私の持論ですが、ダーティプレーでしか止められないのは現時点の実力が相手より劣っていることの証左であると思います。つまり、ダーティプレーをすればするほど相手との差は開いていく一方で、選手の実力は伸びないばかりです。

よく、どんな手を使ってでも止めろ!などダーティプレーを容認するような指導者の発言を見かけられます。そのような発言をする指導者の多くはダーティプレーをすると、気持ちが入ってる!などと意味不明な理論で選手を褒めたたえます。本当にこれでいいのでしょうか?

気持ちが入ったプレーというのは個々の選手で異なると思います。例えば、相手に自由なプレーをさせないためには、相手よりも運動量を増やしたり、味方の選手に積極的に声をかけて士気を高めるなど個々のスタイルがあると思います。残念ながら、日本の風土として犠牲の精神が賞賛されているため、チームのためにイエロー覚悟で相手を壊しかねないプレーを褒める文化があるのは事実です。今回の日大のアメフトに関してもそうだろうと思います。

私の方針

私は基本的にダーティプレーを許しません。なぜなら、そのほとんどが感情的で合理的な判断のもとに行われていないからです。合理的に相手を壊すのは最も最悪ですが。サッカーは身体能力よりも判断力がモノを言うスポーツですので、合理的な判断を放棄するプレーは指導者として許すわけにはいきません。私はダーティプレーをした選手を褒めませんし、ダーティプレーをする選手には厳しい言葉と態度を持って接するようにしています。

 

プレイヤーズファースト

プレイヤーズファースト

サッカー指導者でよく言われるプレイヤーズファーストという言葉があります。これはプレイヤーの成長や安全が第一であるという考えです。私もこれには賛成です。

プレイヤーだけ?

ついこの間、自分の担当学年の大きな大会がありました。その日は豪雨で雷が鳴っていたため、一時中止になり40分ほど時間が空きました。もちろん、プレイヤーズファースト云々の前に安全第一のため中止にするのはわかります。ただここで問題なのは、審判や保護者のことまで考えられているかという部分だと思います。私が実際に審判を担当しており、雨の中40分も待たされることになり、危うく風邪をひくところでした。どう考えてもこれから晴れる気配のない天気でしたので、大会本部は直ぐに決断し延期にするべきでした。もちろん日程的に厳しいことは承知しておりますが、我々ボランティアでやっている審判や保護者の方は普段の仕事がありますので、ここは無理をするところではないと感じました。

当たり前だけど安全第一

そもそも予備日を設けていたので、延期にすることはなにも問題がありませんでした。ただ、大会本部は決断することもなく待っているだけで、我々審判に対して何もすることなく時間は過ぎ、雷雨があってから20分というルールだけを守り、豪雨の中試合を無理矢理続行させるということになりました。

正直言ってやる気が無くなりますし、そのあと保護者の方も豪雨の中後片付けを行い、その間選手は待ちぼうけするなど、とうてい安全意識が保たれると感じませんでした。あとで知りましたが、その日は大雨警報が出ていたそうです。

プレイヤーズファーストの前に

プレイヤーズファーストは、選手の成長のために何かをするというコーチの心構えや行動の指針であると思います。しかし、安全安心が確保されていない状況下でコーチが充実した指導を行えるとはとうてい思えません。まずはコーチをまとめる役職の人や大会本部の方には、全体の安全意識を持っていただきたいと思いました。

自信について

自信ってなんだろう

よく指導者は選手に自信を持て!と指導します。が、そもそも自信というのは目に見えないもので曖昧なイメージが強いです。

根拠のない自信をもて!?

根拠が無くて良いから自信を持った方が良いと聞きますが、これはどうなんでしょう。自信は自分を信じると書きますが、自分を信じる根拠がないのに自分を信じることは難しいように思います。ここから考えられることは、自己分析のハードルは高いということで、それが小学生年代になればより深く自分のことを分析できる選手はとても少なかなるのではないでしょうか。

自信のきっかけを作ってあげよう

小学生年代では自信を持つのが難しいのであれば、自己分析を手伝ってあげるのはどうでしょうか。どんな選手でも特徴があり、個性があり、そして弱点がありますので発達段階に合わせて指導して行くべきだと考えます。例えばトラップについて考えると

  • ボールコントロールの精度
  • 体の向き
  • プレーの連続性を考えているか
  • 色々な部位で出来るか
  • プレッシャーの有無でどう変わるか

などがあると思います。そもそもボールコントロールが怪しい選手に頭ごなしにしっかりやれ!とか同じ指導をしても効果は薄いし自信はつかないでしょう。

ではどうするかと言うと、やはり"褒める"ということではないでしょうか。褒められて嫌な選手は少なく、選手が嫌がる多くのパターンは褒めるポイントがズレていることやあからさまでバカにされていると感じるような褒め方をされた時です。トラップであれば、偶然でも良いプレーであれば褒め、特にどこが良いのかまで伝えられれば次も頑張ろうと思うでしょう。大学で教職の講義で"ほめ言葉のシャワー"というフレーズを聞いて、これは良いなと思いました。

褒めることをためらわない

よく、褒めすぎると調子に乗って伸びないということを聞きますが、それは指導者の指導力不足で、選手に与えるテーマが低すぎたり、サッカーへの理解が指導者よりも超えてしまった場合に起きると思われます。そのため指導者は選手以上にサッカーや選手自身を理解しなければならないと思います。そのためには、選手や他のコーチとよく話すことや色々な媒体を通して情報を収集することが良く、私はfootbalistaで戦術解説を読んでいます。戦術に関してはまた書きます。

指導者のコミュ力

コミュニケーション力=コミュ力は指導者にとって不可欠なのは想像がつくと思いますが、私は特にコミュニケーションが双方向であることに注目しています。何かを理解するというのは日進月歩のように見えて実は穴だらけなもので、それを埋めるのが自分の言葉だったり指導者の言葉だと思います。優れた選手は自分の意見を自分の言葉で説明できますが、そもそも言葉を知っていなければ説明できず、その言葉は自分で産み出した言葉ではなく、どこからか引っ張ってきた言葉です。つまり、何かを理解するためには他人と話をするというプロセスはとても重要であると考えます。

自信についてのまとめ

自信をつけるためにはまずは指導者が適切に褒めることが重要であり、また選手と議論をしてプレーの理解度を高めることがさらなる自信へと繋がります。コーチの指導はつまるところは、褒めることと選手の理解を助けるために話し相手に積極的になっていくことだと思います。指導者が喋りすぎたり、練習メニューが複雑怪奇になってボールコントロールなどの基礎が疎かになったりすることは良く見かけられますが、私はそれよりも試合形式に近い練習を多くして、練習テーマの中身だったり、どう褒めるかや選手とどのような議論をするかを考えています。

”戦え!”、え?戦うって何?~抽象的な声掛けについて~

 

声掛けについて

 ひとつ前の記事で声掛けについて書いたので追加で書きます。声掛けに関して普段から思っていることあります。これを言ってしまうと、他のコーチ陣にかなり喧嘩を売ってしまいますが、若手の2人のコーチにしかこの存在を教えていないので大丈夫と信じております(笑)。

 私は、コーチ3年目ですが一番嫌っている言葉が「戦え!」という言葉です。うーん。いや、わからんでしょ。というのが率直な感想で、抽象的すぎて行動に移すことが難しいです。この指導の弊害が、荒いプレーでアフターチャージなどの、ファウルを奨励するかのようなプレーで、わがチームでは連発しております。そりゃあそうだろうと思うのですが、大の大人に鬼気迫る顔で怒鳴るように「戦え!」なんて言われたらどんなことしてでも止めろ!って言われているのと同じだと考えても不思議じゃないです。

具体的にはどうなのか

 たとえば、”戦う”という言葉ですがサッカーにおいて戦うというのは守備でも攻撃でもありますが冷静に分析すれば、”コーチからみて”という前提条件がある気持ちを見せるプレーということだと思います(そうじゃなかったらわかりません、もうお手上げです)。これは、コーチからみてという時点で選手の理解のハードルが高まると思います。

 例えば守備の場合、体を張ったプレーというのがありますが、これは戦うプレーの一つだといわれています。が、体を張るというプレーが複数あるので、どれのことを指すか全くわかりません。体をぶつけてボールを相手から奪い取るのもあれば、体を投げ出してシュートブロックをするのか、はたまたスライディングだけのことをいうのか。これでは、選手は何を指導されているのかわかりません。正直言って、「がんばれ!」と声をかけて、選手がうまくなると思っているレベルの話だと思っています。

 そもそも、守備において重要なことは何か。育成段階において何が大事かといわれると1つや2つではなくそれこそ膨大で伝えきれないでしょう。ポジショニング、体の向き、マークの付き方、マークの距離感、連動した守備の声掛け、ディレイするのかボール奪取するかの判断やそのやり方などがあると思いますが、それを教えるのが指導であって、”戦え!”って私が選手でも何言ってんだこいつって思いますよ。

メンタルは瞬間じゃなくて継続性が大事

 百歩譲って”戦え!”というのは、おそらくメンタルの指導であると考えているのだと思います。ただ、メンタルというのは瞬間でコーチの言葉を聞いて急に伸びるものでもないです。私は細かいことを継続することがメンタルの強さだと思っていて、守備に関しても攻撃に関しても常に周りの状況を判断し、細かいことからすべて実行に移していくことはかなり難しいものです。それを支えあうために、選手間で声を掛け合うことが重要であるので、なによりメンタルというのはコミュニケーションによって生まれるものだと考えます。なので、声を常に出したり選手間のコミュニケーションが深いチームは個々が判断できそれを実行できるので強く、総崩れしない事が多いように思います。

コーチの言葉の重み

 長々と書きましたが、つまるところコーチの言葉は抽象的であればあるほど選手は戸惑い、意図しない理解を得てしまいます。そもそも抽象という言葉はその事象を抽出するということなので、その事象がそもそも何かを連想できない事が多い小学生年代に使う場合は注意したいものです。

サッカーIQってなんだろう

サッカーIQってなんだろう

 よくサッカーIQという言葉を聞きます。IQという言葉は、Intelligence Quotientという知能指数を数字で表すためのものらしいです。つまり、”サッカーIQ=サッカーに関する知能の数字的な指数”ということになりますかね。でもサッカーに関する知能ってなに?という疑問があります。

サッカーに関する知能=判断力?

 サッカーに関する知能について考えてみます。サッカーを指導するときによく言われるのは、判断力を磨く練習をするべきだという意見です。私もこれは同意しますが、判断力というのはかなり曖昧で細分化されていない言葉だなと思います。

判断力の細分化

 判断するにしても、生まれたての赤ん坊が何かを判断するときにはやはり本能として親に助けを求めるために、泣くことで助けを呼ぶという判断をして、行動していると思います。しかし、小学生年代に入れば理性的な判断ができるようになってくるため、相手の表情や行動で自分の行動を変えることができるようになります(相手が泣いていれば、慰めるなど)。これから、判断力も本能的な判断力と理性的な判断力があると考えられます。

理性的な判断力

 サッカーで理性的な判断力を考えるならば、例えば相手が一対一に強ければ、パスで崩すことを選ぶことや、相手のFKやDFの位置を把握してロングシュートを狙うのかスルーパスを狙うのかなどを選ぶことなどがあると思います。これは、主に相手の行動や相手の個性を元に、予測をたて戦略的に相手を上回るために行います。

本能的な判断力

 サッカーにおける本能的な判断力とは何だろうと考えると経験からくる咄嗟の反応だと思います。例えば、相手にチャージされた場合を考えましょう。ある選手は遠いほうの足でキープしてボールを失わないようにするかもしれないですが、わざとボールをさらして相手がボールを奪おうとするところを一気に抜いてしまうというボールのキープの仕方をする選手がいると思います。これは、理性的にというよりは練習や試合などで積み重ねられてきた経験からくるものだと思います。

判断力を鍛えるためにはどうすればよい?

では、判断力を鍛えるためにはどうすればよいのでしょうか。

理性的な判断力を鍛えるためには?

 理性的な判断力が優れている選手は相手の傾向や特徴を知ろうとしたり、味方の情報を取り入れようとします。そして、試合や練習の中で周りを見て自分がどうするかや周りをどう動かしていくかを意識していると考えられます。ただこれを自分ですべて考えてできる選手は見たことがありません。

 理性的な判断をするためには、着眼点を持つことが大切だと思います。例えば、プロの試合を見ていいプレーをしたときになぜそうなるかを考えたり、コーチや監督からの指示で着眼点を持つことができると思います。これは、脳の成長とともに発達するため、個人差に依りますが小学生年代ではコーチの声かけが重要になってくると考えています。そのため、コーチが頓珍漢な声掛けをすればするほど理性的な判断力はどんどん落ちていくことが予想されます。というか、頓珍漢な声掛けをするくらいなら声をかけないほうが良い場合が多々あります。なので、試合や練習で様々な着眼点を見つけられるような声掛けが理性的な判断力を鍛えるために必要なのではないかと考えます。

本能的な判断力を鍛えるためには?

 本能的な判断力なのだから、練習の量を増やせばなんとかなる!!というのは、大間違いだと思います。本能的な判断力というのは、経験的な要素が多いため練習の量だけに着眼点をもつことは間違いで、経験のパターンを増やすことが重要だと考えます。つまり、同じ練習の反復も大切ですが、様々な場面やその場面ごとにいろいろな選択肢があることを認識することが重要だと思います。トラップ一つにしても、様々な体の部位でトラップすることができ、トラップの方向、強さも様々あります。この一つ一つは練習や試合で経験しなければうまくならないです。また、様々なバリエーションを持っていれば理性的に判断する余裕がない場面でも、それを実行することができます。

 

コーチのサッカー観と声掛け

 そもそもプレーの選択に正解はないもので、コーチのサッカー観で指導をすると育成年代の選手はコーチのサッカー観に染まってしまいがちです。これが続いてしまうといざ試合になるとコーチのサッカー観の外にあるプレーでは全く通用しなくなってしまい、"サッカーIQが低い選手だ"などと言われてしまうのではないでしょうか。

 私の場合は、自分の好みを選手に押し付けないように心掛けています。よくベストエフォートという言葉がビジネスでは使われるようですが、その選手が最も努力していれば褒めるようにしています。その選手がドリブルで突破できると感じたならばそれを尊重するべきですし、パスを選択したならパスをしたことを褒めなければなりません。ただ、自分ができることしかやらない選手には自分のできない事にも挑戦させるように指導しなければならないと思っていて、コーチの指導や声掛けはあくまできっかけにしかならず、自分の経験したことがない世界を自分で体験して学ぶこと以外に成長する手段はないと考えています。そのため、声掛けはその選手が見えない世界を提示する(教えるではない)ことで十分だと思います。

8人制サッカーのポジショナルプレー

ポジショナルプレー

最近、footballistaなどを呼んでいると、ポジショナルプレーについてかなり詳しく書かれていました。web記事で結城康平さんの記事があったので、それを参考に8人制の少年ではどのようになるかを考察してみました。

www.footballista.jp

 

ポジショナルプレーというのは、人によって理解が異なりますが、私の理解ではボールや人の場所によって、各選手がポジショニングを変えることで優位性を得るプレーだと考えています。今回は、8人制でのポジショナルプレーについて考えてみます。2-4-1の場合のみを取り扱います(3-3-1と3-4-0は気が向いたら笑)。

5レーン理論とハーフスペース

まず、5レーン理論とハーフスペースについて説明します。よく、サイド攻撃や中央突破という言葉が使われますが、5レーン理論は、それを更に細分化した5つのレーン(区分け)で考える理論のことを言います。

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このとき、黄色のスペースのことをハーフスペースと呼び、現代サッカーではここをうまく活用しようというのが流行しています。ハーフスペースの優位性は、視野の広さとゴールへの近さがあります。サイドスペースだと選択肢は突破するか中へパスをするかしかありません。また、中央のレーンだとゴールから最も近いためプレッシャーが強い場合が多く突破するのが難しいです。

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サイドスペースの場合。視野も選択肢も中か前しかない。

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ハーフスペースの場合。左のレーンや中のレーンにドリブルすることやパスをすることができ、またゴールに近いのでシュートも可能。

2-4-1の場合

まず、2-4-1の基本陣形の場合は、両サイドハーフの選手がサイドのレーンにいて、両CBと両CMFの選手はハーフスペース、そしてFWの選手は中央のレーンにいます。

サイドハーフの選手がボールを保持している場合

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では、ここでサイドの選手がボールを持ったときの場合を考えます。Footbalistaのweb版では、①1列前の選手が同じレーンにいてはならない。②2列前の選手は同じレーンにいなければならない。というルールが設けられていました。8人制では、3つの列しかありません。このため、2列目の選手がボールを持った場合はこのルールは破綻してしまうため、CMFの動きで列を作るしかありません。

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CMFがすこし前に移動することで、三角形ができました。しかし、これでは三角形が1つしかできていないため、十分とは言えません。次のようなプレーを考えてみました。

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FWがサイドに流れることで、2つの三角形が作ることができました。ここで、攻撃の選択肢としてCMFに預けるパターンとFWに預けるパターンがあります。それぞれを考えていきます。

FWにボールが渡った場合

では、まずFWにボールが渡った場合を考えます。

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この場合だと、前向きな三角形を作成することができません。左CMFとの連携で崩していくか、遠くにいるもう一人の右CMFにセンタリングをするか、またはドリブル突破を試みるかになってきます。ここで、他の選手の動きだしについて考えると右CMFと右のサイドの選手が次のように動いたと仮定しましょう。

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すると、次のような三角形ができます。

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これによって、CB、左CMF、右CMFという選択肢ができ、三角形が二つできました。例えば、走りこんできた右CMFにボールが渡るとすると

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右のハーフスペースにいた右サイドハーフの選手が中央のレーンに侵入することで、また三角形ができますし、自らシュートを狙うこともできます。同様に、左CMFにボールが渡った時も同じ三角形ができるため有効な手段となります。

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CMFに預けた場合

つぎにCMFにボールを預けた場合はどうなるか考えていきます。

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ここで、右のCMFは左のハーフスペースまでFWを追い越して進むこともできますが、中央のレーンに侵入しFWの選手が左のハーフスペースに入ることで優位性を保つことができます。また、FWのいたスペースには左のサイドハーフの選手が入ることで二つの三角形ができます。

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このように、細かい動き直しによって三角形は作り直されていきます。

CBの選手がボールを保持している場合

では、次にCBの選手がボールを持っているときの場合を考えましょう。通常の陣形の場合は、三角形は1つしかできません。

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そこで、左CMFと右CBが中央のレーンに移動します。

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これによって、3つの三角形ができました。隠れてはいますが、GKもビルドアップに参加すればさらに三角形を作ることができます。ここでは、サイドの選手にボールを渡すと先に書いた展開になるので、左CMFと右CMFにボールが渡った場合を考えてみます。

左CMFにボールが渡った場合

左CMFにボールが渡った場合、三角形を作る方法として右CMFが一列前に移動し、FWが裏のハーフスペースに侵入することで2つの三角形ができます。

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また、ここでは左にかなり人数が割いてあるため右にスペースができやすいため、右サイドハーフの選手が空いたスペースを狙うこともできます。

右CMFにボールが渡った場合

次に右CMFにボールが渡った場合を考えます。この場合、右サイドハーフが右のハーフスペースに侵入し、中央のレーンに移動していた右CBが右のハーフレーンに移動することで3つの三角形を作ることができます(左CBも含めば4つ出来る)。

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ポジショナルプレーで重要な事

このように、Footbalistaで取り上げられていたポジショナルプレーに基づいて考えると細かなポジショニングで様々な三角形ができることがわかりました。小学生のピッチは横が50mのため、1レーンあたり10mの幅になり、グラウディオラが選手に求める8m程度の選手間距離でいえば、レーンを2つまたぐと10mを超えてくるので遠くなります。そもそも大人と子どもではキック力が異なるため、隣のレーン程度(~10m)でパスを交換する程度でなければ、ボールをつなぐのは難しそうです。これを実践するためには、選手がボールを持っているときに他の選手が予測と細かなポジショニングチェンジで適切な距離を保つことが重要だと考えます。

実際に指導する場合

これを一から選手に理解するには相当な時間と理解力が求められます。なので、例えば「サイドの選手がボールを持ったときは逆サイドの選手は中に詰めよう。」や「CBの選手がボールを持ったときは、足元ではなくてできるだけスペースに動き出してもらおう」などの具体的な指導にしなければならないと思いました。中学生や高校生までの段階に行けばできない事はないのかなーとは思いますが。。